社協は、人と福祉をつなぐプラットフォーム

神山町社会福祉協議会ってどんなところ?
神山温泉の目の前にある建物が、「神山町社会福祉協議会」の事業所です。みなさんは社会福祉協議会がどのような活動をし、私たちの暮らしとどう関わっているのかを知っていますか? 今回は、事務局次長・武内裕美子さんと主事・川村桃香さんにお話を伺いました。


社会福祉協議会ってどんなところ?
武内 社会福祉協議会は、民間の社会福祉活動や地域福祉を推進することを目的とした非営利の民間組織です。社会福祉法に基づき、すべての都道府県およ
び市町村に設置されています。私はよく「ゆりかごから墓場まで※」という言葉を使うのですが、生まれたばかりの赤ちゃんから高齢になってお亡くなりになるとこ
ろまで、一生を通じて、その方に必要な支援をさせていただいています。社会福祉協議会と言うと難しく聞こえるかもしれませんが、私たちの暮らしや生活(=社会)のしあわせ(=福祉)のために話し合う(=協議)集まり(=会)と考えていただけたらいいですね。
※行き届いた社会保障を表す標語。第二次世界大戦後のイギリスが掲げたスローガンで、日本を含めた各国の社会福祉政策の指針となった。
どんな活動をしているの?
武内 「誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことのできる福祉のまちづくり」を理念としており、さまざまな活動の中でも、神山町社会福祉協議会(以下、社協)にとってメインとなるのは、「地域福祉活動」です。神山町のそれぞれの地域が抱える課題に目を向けて、いろんな仕組みづくりを行っています。令和8年度の神山町地域福祉活動計画策定に向けて、昨年10月から各地域を回って、地域座談会を開催しています。その他に、活動内容を大きくまとめると、高齢者のこと・子どものこと・障がい者のこと・困りごとの相談・ボランティアのこと・募金や会費のことに分けられます。私と川村は社会福祉士でもあるので、主に相談業務を行っています。
相談業務について教えてください。
武内 生活や仕事に不安を感じている方に対して、相談に応じています。その方の困りごとによって、支援の仕方は変わりますね。例えば、生活福祉資金という制度がありますが、社協の支援というのは、お金を貸したら終わりではなくて、その後の見守り支援も継続しています。自立に向けた支援ができるようにつながり続け、必要であれば就労支援も行っています。
川村 判断能力に不安のある方が、安心して神山町で住み続けられるように、日常生活自立支援事業という制度があります。「役場のサービス内容が分からない」「どういうサービスを利用したらいいのか分からない」といった時に、福祉サービスを安心して利用するためのサポートをしています。それに加えて、年金や福祉手当の受け取りに必要な手続きや医療費の支払いなど、金銭の管理が難しい方には、日常的なお金の出し入れのお手伝いも。また、通帳や保険証書などを失くしそうだから預かってほしいという方がいれば、社協で大切な書類などをお預かりするサービスもしています。仕事をする中でみなさん、神山の住み慣れたお家にずっと住みたい、という想いが強い方が多いと感じています。
武内 サポートがないと一人で暮らしていくのは難しい方に向けて、神山で安心して暮らしていけるように、ヘルパーの利用やお金の管理など、いろんな福祉サービスの中でどのような支援が必要なのかを私たちは考えています。
川村 ご本人だけでなく、ご家族の方でも、これからも安心して神山町で暮らすための材料として、社協の相談業務について知っていただけると嬉しいなと思います。
どんなふうに活用してもらいたい?
武内 まずは、社協のことを知っていただきたいですね。私が入職した当時は、事務所に訪ねて来るのは、ほとんどが高齢者の方でした。そこでいろいろ考えて、少しずつ子どものことに関われる仕事を増やしていったんです。いまは、紙おむつの支給やチャイルドシートの貸出などをしているので、たくさんの若い親御さんが来られるようになりました。高齢者の方が介護などの相談にだけ来るような場所ではなくて、社協はまちに暮らす人なら誰でも来てもいいところなんです。
川村 対象が高齢者や障がい者に限定されていると思われることが多いのですが、地域住民のみなさんが対象です。みなさんが住みやすくなるように、社協の職員全員でいろんな創意工夫を凝らしていますので、気軽に何でも相談しに来てください。



5年後、10年後を見据えて住みやすい地域をつくるみんなで話そう!つくろう!神山町地域福祉活動計画
今、社協のみなさんが一丸となって、力を入れて活動しているのが地域座談会です。令和8年夏の神山町地域福祉活動計画策定に向けて、昨年10月から各地域を巡回して、地域座談会(全3回)を開催しています。地域座談会では、どのようなことを話し合い、地域のどんな課題が見えてきたのでしょうか。
地域福祉活動計画とは
民間組織である社会福祉協議会が活動計画として策定するものであり、「すべての住民」、「地域で福祉活動を行う者」、「福祉事業を経営する者」が相互に協力して、地域福祉の推進を目的とする実践的な活動・行動計画。=地域住民が地域で行動を起こす指針となるようなもの。
第1回(終了)
テーマ/地域を語ろう!!
内容/地域の強み・弱み・課題について話そう
日時/令和6年10月~12月
第2回(終了)
テーマ/見えてくる!! わたしたちにできること
内容/自分たち・地域でできることを考える
(目標・合い言葉の決定)
日時/令和7年4月~6月

強み
上分 助け合う姿勢が強い/多世代が交わっている/おすそ分けができる関係
下分・左右内 イベントが多い/団結力があり、新しいことを始める力がある
神領 あいさつを交わす/住民同士の関わりが多い/お祭りに学生が参加してくれる
鬼籠野 イベントに対して参加者が多く、理解がある/夏祭りや相撲など行事を大事にし、受け継いでいる
阿川 まとまりやすく団結力がある/活動する場所がある/唯一無二の公民館
広野 集合の30分前には作業が終わっている/地区の運動会が継続
地域の生活課題
上分 ちょっとした困りごとに対応できるサービスがあれば/本当の思いを聞く力が必要/気軽に集まれる場所がない
下分・左右内 話をする機会が減った/ひとり暮らしの方への支援をしたいがなかなか難しい
神領 神領地域としてまとまりが弱い/地域交流が減ると安否確認が難しい
鬼籠野 世代間交流を増やす/地区内での困りごとを共有する
阿川 お助け隊があったら(ちょっとしたこと、よろず屋)
広野 近所づきあいが少ない/情報を知らない人がいる
目標
上分 交流を増やし気軽に集まれる場所をつくり、人とのつながりを活かして仲間をつくる/ボランティアの輪をつくる
下分・左右内 ゴミ出しの手伝い(家の前までゴミを出して貰えたらゴミを持っていくことができるのでは)/畑仕事でコミュニケーション(一つの畑をみんなで育てる)
神領 イベントをする人と手伝いたい人をつなげる仕組みづくり/お祭りなど、神領全体で集まれる機会や場所をつくる
鬼籠野 昔ながらの行事(祭り・相撲)を受け継ぐ/元気な高齢者が活躍できる場、仕組みづくり
阿川 公民館によろず屋をつくる(公民館に情報を集め、住民同士で助け合う)/行事を通して移住者や若い人との交流を深め、つながりをつくる
広野 町内一斉清掃にみんなが参加(高瀬のゴミ・道路のゴミ解決)/昔ながらのイベントの復活・集まる機会をつくる(草刈り後のBBQなどの楽しみ・イルローザの森でのラジオ体操・まったりみんなの広場の継続)
最終回(第3回)
内容/目標に対して何をどうしていくか活動内容を決める
上分 日時/8月27日(水)19:00~
会場/上分公民館
日時/9月24日(水)19:00~
会場/下分公民館
神領 日時/9月10日(水)19:00~
会場/高齢者生産活動センター
下分・左右内 日時/9月24日(水)19:00~
会場/下分公民館
鬼籠野 日時/10月22日(水)19:00~
会場/鬼籠野公民館
阿川 日時/8月20日(水)19:00~
会場/阿川公民館
広野 日時/10月8日(水)19:00~
会場/広野公民

個人から地域へと広がる支援の輪
このまちで安心して暮らしていくには、町民のみなさんは社協とどのような関わりを持てばいいのでしょうか。事務局長 水上明彦さん、事務局次長 武内裕美子さん、主事 川村桃香さんに、これからの社協が目指す先について伺いました。
簡単に自己紹介をお願いします。

水上 生まれも育ちも神山町です。社協に来るまでは、神山町役場で働いていました。

武内 神山町出身で、高校からは徳島市内にいました。平成13年、神山に戻ってきたと同時に社協で勤めるようになりました。

川村 高知県出身です。徳島文理大学に進学して、福祉のことを学びました。卒業後、すぐに社協で働きはじめました。
社協で働きはじめたきっかけは?
武内 元々、人のお世話をするのが好きで、ご縁があって社協で働くことになったのですが、大学で福祉を専門的に学んでいなかったので、入職してから必要性を感じて、通信で社会福祉士の資格を取りました。
川村 高校生の時に担任の先生や母親から、社会福祉士が向いているんじゃないかと推薦されて。大学で実習に行ってみて、社協ってすごく楽しいところなんだなと知ったんです。社協で働きたいと思っていた時に、たまたま大学の先生から神山町の求人のことを教えてもらい、入ることになりました
社協での仕事のやりがいは?
武内 困りごとをどこに相談したらいいか分からない時など、まずは社協に相談してくれたら、社協で解決できることはお手伝いしますし、できないことはプラットフォームとして、次の専門職の方へとおつなぎするのが私たちの仕事。それがピースのようにはまって、うまく解決できた時にやりがいを感じます。その中で、新たな出会いやコラボレーションが生まれるかもしれません。
川村 人とお話しをするのが好きな私がいつも大事にしているのが、話してくださる方の気持ちを受け止めて尊重すること。人とのコミュニケーションの中で生まれる温かさが、やりがいにつながっていると思います。
社協が進むべき将来のあり方は?
武内 私たちは、誰もが安心してその人らしい暮らしができるように日々支援をしています。社協の使命ってそこにあると思う。まだ相談には来られていないけれど支援が必要な方や、十分な支援が行き届いてない方を見逃すことがないように、住民のみなさんや地域の福祉関係の方との関係性を大事につくりながら、ニーズをしっかりキャッチして、継続的に支援をしていきたいです。
川村 困りごとがあれば、どんな小さなことでも、まずは社協に相談してほしいですね。「こんなことを社協に話せて良かったな」って、社協があるから安心できる、という拠り所になれたらと思っています。
武内 いま地域座談会で各地域を回らせていただいて、「誰かの役に立ちたい」「地域のためにこんなことをしたい」と思っている方がたくさんいらっしゃることが分かりました。そういう人たちも巻き込みながら、みなさんの想いをのせた計画をつくっていきたいです。そして、個別支援から地域支援というように、助け合いの輪が広がっていけたらいいですね。
水上 住民のみなさんに、社協がこんなことをやっているんだということを、少しでも分かってもらえたらと思っています。昨年ホームページをリニューアルし、これまで以上に閲覧しやすくなりました。社協をより身近に感じていただけるような発信をしていきますので、ぜひご覧ください。


社会福祉法人
神山町社会福祉協議会
〒771-3310 神山町神領字本上角93−1
TEL 676-1166 FAX 676-0906
ホームページ https://kamiyama-shakyo.or.jp
メール jinsha1166@mb3.tcn.ne.jp
会所時間 8時30分〜17時15分
撮影 / 生津勝隆
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